2010-03-20 古銅水滴・「子犬」 道具・職人魂 #工芸 古銅水滴・「子犬」 今から25年ほど前、書道家を夢見ていた頃、地元の古道具屋のショ-ケ-スの片隅にポツンと置かれていたものである。一寸(約3センチ)ほどの手の中になじむ古銅の水滴で、古道具屋のじいさんの言うことでは、前の持ち主は目の悪い人だったそうで、撫でさすっていたそうである。水切れ(水滴はこれが肝心)もよく、テストパイロットが買い気を見せると、そこは老獪で百戦錬磨の古道具屋のじいさん、「二度と出えへんで、持っときなはれ、2万と5000両でどうや」とたたみかけてきた。 今は、硯で墨をすることも稀になったが、なぜかしら、この子犬の水滴を撫でさすることがある。