そして、神戸!!「ずっこけテストパイロット、神戸大学付属病院へ行く」

そして、神戸!!
「ずっこけテストパイロット、神戸大学付属病院へ行く」

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 ブログアップがのびのびとなっていた、「ずっこけてすとパイロット、神戸大学医学部付属病院へ行く」です。
 
 神戸 泣いて どうなるのか 捨てられた我が身が みじめになるだけ
 神戸 船の灯り うつす 濁り水の中に 靴を投げ落とす
 そして ひとつが終わり そして ひとつが生まれ 
 夢の続き 見せてくれる 相手 捜すのよ・・・

 テストパイロットが、「そして、神戸」を口ずさみながらJR神戸駅を下車、山の手に向かって5分ほど坂道を歩くと、「湊川神社」があらわれた。 

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塵一つない気持ちも良い坂道と湊川神社の塀です。

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湊川神社、今度ゆっくりと・・・

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 湊川神社から5分、テストパイロットの目指す神戸大学医学部付属病院があらわれました。

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 阪神淡路大震災より1年後の平成8年3月22日の彼岸、40本のオリーブの若木は神戸に送られ、能瀬さんらボランティアの皆さんの手で神戸大学医学部精神科病棟(清明寮)です。

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 この前に兵庫小豆島会に寄稿したテストパイロットの拙文です。重複しますが、東京や屋久島町で大きな地震が起きています。今一度掲載することをお許し下さい。
     

オリーブがとりもつ、奇縁にして貴縁(阪神淡路大震災)
                      
                                小豆島 テストパイロット

 1月17日には、早朝から20年前の阪神淡路大震災の模様がテレビから流れていました。それを見ているうちに、震災の翌年に小豆島のオリーブの若木40本が神戸大学医学部精神科病棟(清明寮)の庭に植栽された、ということが思い浮かんできました。
 平成7年5月、日本福祉大学の坪上宏という人から電話がかかってきました。話の内容は、内田義彦先生の奥様からテストパイロットさんのことを聞いた。神戸大学中井久夫先生がオリーブの木を患者さんの治療と神戸復興のシンボルとしたいと探している。ついてはオリーブの木を世話して欲しいというものであった。数日後に来た坪上先生からの手紙で、電話での話の詳細がわかった。
 私の恩師内田義彦先生は専修大学で経済学者、坪上宏先生は日本福祉大学で福祉が専門と、大学と専門分野は違うものの内田先生に教えを受けていたということから、平成元年に内田先生が亡くなった後も3月18日の命日には目黒にある内田邸を訪れていた。平成7年も命日に訪れて内田先生の奥さんと話をしていたとき、話題が1月の阪神淡路大震災になり、「友人の中井久夫先生の『1995年1月・神戸(みすず書房)』という本に、一本のオリーブの木が半分を火に焼かれながらも民家への類焼を食い止めたというおばあさんの話が掲載されている。中井先生は、可憐な枝葉からは想像もつかないほど生命力の強い常緑樹のオリーブの木神戸大学の精神科病棟に植えて患者の治療に役立てたいとオリーブの木を探している。私は戦後の一時期、オリーブの島として有名な小豆島の淵崎というところで結核の療養生活を送っていたこともあるのだが・・・」と話したところ、内田先生の奥さんは、「主人が信頼し、大学卒業後も熱心に指導していたテストパイロットさんという人が小豆島いる」と言って、私が内田先生に出した手紙の束を見せたのであった。奇しくもその頃、私は淵崎公民館主事をしていました。
 内田先生は、神戸の岡本村(現・神戸市東灘区)で育ち、旧制甲南高校時代からの友人である下村正夫(演出家)、武智鉄二(映画監督・演劇評論家)、高安国世(ドイツ文学者)さん、野間宏(小説家)さんらのことなどをはじめとした若き日の神戸時代のことをよく話をしてくれました。奥さんも西宮の苦楽園に居を構えていた下村海南(元読売新聞副社長・内閣情報局総裁、下村正夫の父親)の親戚ということもあり、神戸に人一倍の愛着がありました。
 ゼミナールはマンツーマンの仕事という内田先生の考えから、ゼミの学生は1学年に1人か2人という、こじんまりとしたものでした。また、理解力のとぼしい私は、ゼミとは別に週に一度、内田先生のお宅でレクチャーを受けていましたので、私と先生との間柄は、かなり密度の濃いものでした。その大恩ある内田先生との奇縁から生まれた坪上先生の依頼である。これはぜひとも叶えなければならないが、如何せん私にはそのような伝手はない。困った私が、植物学者で、淵崎公民館長をつとめていた片本毅先生に相談したところ、「わかりました。神戸大学へのオリーブの木の植栽の件は私に任せてください」と快諾をしてくれました。
 片本先生の懸命の奔走の結果、オリーブ園の平地保治社長が、「オリーブの木が心に悩みをもつ人たちや震災の被災者の皆さんの気持ちを癒してくれるならば喜んで協力いたします」と、植えて五年になるオリーブの若木(樹高1・7㍍)を40本提供する。神戸大学への運搬は平地社長の友人で内海港運の川野博範社長が引き受けてくれということになりました。神戸での植栽については、中井先生の知人で神戸大学の精神科病棟の造園をボランティアで携わっている西宮市立緑化植物園勤務の能瀬健吉さんが担当することになり、平成8年3月22日、40本のオリーブの若木は神戸に送られ、能瀬さんらボランティアの皆さんの手で神戸大学医学部精神科病棟(清明寮)の庭に植栽されました。
 この時、片本先生は私に、「マスコミの取材には、オリーブ園と内海港運を全面的に出してあげて下さい。私の名前は決して出さないで下さい。私は何もしていないからね」と言われましたので、新聞やテレビの取材には片本先生の名前を秘しました。そして私もまた・・・
 その後、坪上先生と中井先生は小豆島を訪れ、オリーブ園と内海港運を訪問して、「病棟の庭に小豆島のオリーブの木が根付いて患者の皆さんや被災して病院に入院している人たちから喜ばれています」と礼を述べています。また、片本先生の、「これを機に神戸大学と小豆島の交流をしたい」という希望を中井先生は快く聞き入れてくれましたが、片本先生の急逝で話は進展しませんでした。これまで二度ほど中井先生から私に、大きく育ったオリーブの木を見に神戸に来ませんか、というお誘いがありましたが、オリーブの植栽に関して、何もしていない私が、という思いもあり、一度も訪れたことはありません。これを機に、神戸大学を訪れて大きく育ったオリーブの木を見てみようと思っております。
 最後に、これは、兵庫小豆島会の皆様に、ぜひ知っていただきたいことがあります。中井先生は、地震勃発とともに全国の大学の医学部にファックスを送って救援を求めました。九州大学などは、精神科救急の医師をはじめとして看護師、研修医、学生が大挙して神戸を訪れて救助活動を行っています。そのため、九州大学の大学病院が手薄になり、大学があわてたというエピソードが残っています。また、それら全国から応援に駆けつけた医療スタッフの、食事、風呂、睡眠を確保するため、中井先生は姫路市赤穂市近郊のホテル・ビジネスホテル・旅館、民宿などの宿泊施設をいち早く押さえました。さらに中井先生は、医師や看護師、カウンセラーなど全国から神戸にやって来るボランティアの人たちの司令塔として不眠不休で陣頭指揮をとりました。このときの活動がきっかけとなり、PTSDや心のケアへの関心が急速に高まり、兵庫県こころのケアセンターが設立され、中井先生が初代所長に就任したのです。
 オリーブの木の植栽の打ち合わせで神戸に赴き、このことを中井先生から聞いたとき、私は、中井先生は神戸大学の一教授なのに、なんとも剛毅果断な人だ、それにしても身銭をきって取り組むとは、と驚いたのを、今も鮮明に覚えております。
 兵庫小豆島会の浜村吉昭さんからの原稿依頼を機に、このように辿ってみると、恩師内田義彦先生の縁(えにし)が坪上宏、中井久夫両先生との「奇縁」を生み、小豆島のオリーブの若木神戸大学医学部精神科病棟に植栽するという「貴縁」となりました。今日、神戸と小豆島の交流は、小豆島町の塩田幸雄町長をはじめとして兵庫小豆島会の浜村吉昭さん、神戸大学名誉教授の中西テツ先生などが精力的に取り組んでおられます。私は、今年3月末で土庄町役場を定年退職となります。今一度、20年前の小豆島のオリーブの木がとりもった「奇縁」にして「貴縁」を心に刻み、神戸と小豆島の交流に関して、何か私にお手伝いできることがあればと思っております。

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 20年前に小豆島から震災復興の不死再生のシンボルとして植栽されたオリーブの木の前でのテストパイロット
 小豆島から植栽されたオリーブの木の1本を神戸大付属病院の玄関脇に移植して、その由来を書いたものを設置して顕彰しようという計画が進んでいるそうです。

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 病院を案内して頂き、公益財団法人神戸大学六甲台後援会事務局長のご配慮でロイ・スミス館にて昼食をとりました。

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 その後、中西テツ神戸大学名誉教授、元神戸大学副学長の神木哲男先生の案内でオリーブの資料などを展示している神戸北野美術館へと向かいました。

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神戸北野美術館は、元アメリカ領事館官舎です。

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小豆島のオリーブが至る所に植えられています。

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ここには私の拙文を展示してくれておりました。

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さらに、風見鶏の館前の小豆島から移植したオリーブの木を見学しました。

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風見鶏の館前のエントランスに小豆島から植栽されたオリーブの木!!


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