古い伊万里焼のダメ親父の絵皿五枚

古い伊万里焼のダメ親父の絵皿五枚
 
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 小豆島の古道具屋でホコリまみれ、無造作に積まれていた五枚組の伊万里のダメ親父の皿五枚。
 手にとってためつすがめつ眺めていると、古道具屋のじいさんは、わたしが買うと思ったのか、「古い伊万里や、五枚で25000両(25000円)に勉強しとくわ、ことによると出世するよ。買うとって損はない」とわたしの買い気をあおった。
 古道具屋のじいさんの殺し文句が、「ことによると出世するよ。買うとって損はない」であり、まだ二十代でウブだったわたしはこの言葉に舞い上がり、じいさんの口車に乗せられ、財布をはたいたことは数知れない。
 でも、30年たってみて、五枚で25000円という金額は、そう無茶苦茶な金額でもないような気がする・・・何しろ、30年も楽しんだのだから。
 出所が雑記らしく、ひっつきや釉薬のハゲ、皿の裏は、ところどころ虫食いのように穴があいている。高台は砂が付いてざらざら。いかにも庶民が使う日用雑記の皿である。
 時代は、江戸末か明治のはじめか・・・伊万里の職人が、食わんがために来る日も来る日も筆にあまり上等ではない呉須をたっぷりとつけて一気呵成に何百、何千枚と絵付けしていた・・・
 皿の中に描かれている人物は、職人の自画像であったかもしれない。
 わたしがこの皿に惹かれたのは、まさに皿の中にいる気の弱いダメ親父の図柄である。そこに、なにをやってもダメなわたし自身を見るようで、時たま、手にとってながめている。