皆さんご存じ、涙なくしては見られない、傾城阿波の鳴門八段目「順礼歌の段」!!
皆さんご存じ、涙なくしては見られない、傾城阿波の鳴門八段目「順礼歌の段」!!
舞台袖で出番を待つ阿波人形浄瑠璃の巡礼の娘おつる
傾城阿波の鳴門八段目「順礼歌の段」
阿波徳島の城主玉木家を勘当された阿波十郎兵衛は、紛失した家宝の刀国次の詮議を命じられます。帰参を願う十郎兵衛は盗賊の仲間となって女房お弓とともに大阪の玉造に住家を求め、日夜刀の行方を追って辛苦しています。
お弓が一人で留守番をしているところへ、十郎兵衛らの悪事が露見したとの手紙が届きます。お弓は夫を思いやり神仏に願をかけるのでした。そこへやってきたのが巡礼の娘。幼いときに別れた両親を訪れてはるばる阿波の鳴門から歩いてきたと語るおつるの身の上に、はっと胸を突かれるお弓。この巡礼の娘こそ故郷に残してきたわが子でした。
切々と親への思慕を訴えるおつるに、今すぐにでも抱きしめ母親と名乗りたい思いにかられながらも、盗賊の罪がわが娘に及ぶことを恐れたお弓は心を鬼にして国へ帰るように諭します。しかし、おつるもなぜかお弓が母親のように懐かしく感じられ、このままここにおいてくれと頼みます。そんないじらしいおつるの言葉に、お弓の胸は悲しみで張り裂けそうになりますが、泣く泣くおつるを追い返します。
おつるの去った後、門口で耳を澄ますと「父母の恵みも深き粉川寺、仏の誓い、たのもしきかな・・・」と悲しげな巡礼の歌が聞こえてきます。それも次第次第に遠ざかっていくと、お弓は門口にすがりながらわが娘を見送り、こらえきれずその場に泣き崩れるのでした。
お弓が一人で留守番をしているところへ、十郎兵衛らの悪事が露見したとの手紙が届きます。お弓は夫を思いやり神仏に願をかけるのでした。そこへやってきたのが巡礼の娘。幼いときに別れた両親を訪れてはるばる阿波の鳴門から歩いてきたと語るおつるの身の上に、はっと胸を突かれるお弓。この巡礼の娘こそ故郷に残してきたわが子でした。
切々と親への思慕を訴えるおつるに、今すぐにでも抱きしめ母親と名乗りたい思いにかられながらも、盗賊の罪がわが娘に及ぶことを恐れたお弓は心を鬼にして国へ帰るように諭します。しかし、おつるもなぜかお弓が母親のように懐かしく感じられ、このままここにおいてくれと頼みます。そんないじらしいおつるの言葉に、お弓の胸は悲しみで張り裂けそうになりますが、泣く泣くおつるを追い返します。
おつるの去った後、門口で耳を澄ますと「父母の恵みも深き粉川寺、仏の誓い、たのもしきかな・・・」と悲しげな巡礼の歌が聞こえてきます。それも次第次第に遠ざかっていくと、お弓は門口にすがりながらわが娘を見送り、こらえきれずその場に泣き崩れるのでした。
しかし今別れてはもう会われぬ身の上と思い直したお弓は、住家を跡にしておつるの後を追いかけます。
皆さんご存じの名場面・・・「父(とと)さんの名は、あーいぃぃ、阿波の十郎兵衛と申します。母(かか)さんの名は、あーいぃぃ、お弓と申します」