古備前の水差し

                 古備前の水差し
 
 
イメージ 1
 古備前の水差し(急須?)である。土味や焼き上がりから、江戸末の天保窯のものと思われる。ねっとりとした伊部の田の土に焼き締めは申し分なく、胡麻がふりかかっている。赤ん坊のチンコのような注ぎ口、子どもがつけたような素朴な持ち手・・・イメージ 2
 
 
 20年ほど前、近所で骨董品と煎茶わたしなむお年寄りの家に遊びに行ったところ、この水差しでお茶を出してくれた。まさしく、一目惚れ、欲しそうな顔をしていると、テストパイロットはアホだからすぐに気持ちが顔にでる。「欲しのか」と言われたので、「欲しい」と言うと、この急須のいわれを話してくれた。
 昨今の備前焼作家と呼ばれる先生が造った芸術品でなく、江戸末期の名もない伊部の陶工が一日に何百、何千と、食わんがために造った日常品の美・・・
 時々、この急須でお茶を楽しんでいる。 
 「会者定離」・・・愛蔵していた古い端渓の硯と交換、縁あって私のところに来たが、次は誰に可愛がってもらえるのか・・・