備前焼は高くない。

 春と秋、備前焼の故郷、岡山県伊部では「備前焼祭り」というのが開催される。テストパイロットは、友人から行かないかと誘われる。理由は、値切り役と目利き(あまり目は利かないが)、安月給のテストパイロットは、小遣いが乏しいので、もっぱら予算は3000円までである。当然、名のある作家の作品など買えない。
 
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 安い物でも良い物もある。この鶴首の花入れは、1000円で、銘もある。なぜなら、若くて名もない職人の作ったものだからである。テストパイロットは、これと同じ物を3本買って300円値引きしてもらい、3本で2700円にしてもらった。2本は、友人に進呈した。本当にくれるのかと二人とも喜んでもらってくれた。
 
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 徳利は1500円、これは腹に石を噛んでいるからである。
 店の人に、「石が噛んだ傷物ですよ」と言われた。これを傷物と見るか、景色と見るか評価の分かれるところであるが、狷介な性格ゆえ傷だらけのテストパイロットにとって、なんら気にならない。むしろ、傷のない人間なんぞいるか、と思う。
 
 テストパイロットは、アホだから、これまで趣味に月謝を人一倍払ってきた。失敗もしてきた。騙されもした。しかし、月謝を払わずして、身銭を切らずして、物を見る目は養えないと思う。
 高名な備前焼作家の作品を買うのも一理ある。しかし、日常使う物ならば、このような無名の職人のものでいいのではないか・・・桐の箱に入ろうと、新聞紙に包まれようと、同じ備前焼である。鎌倉室町時代備前焼作家がいたのか・・・とテストパイロットは思っている。