Z400GP・ザッパ-カワサキ
もっとも、この単車は、テストパイロットの弟の所有であった。乗らなくなったものを納屋の片隅に置いていた。テストパイロットは、メグロのメインテナンスをしていたモ-タ-スのおっさんのところに持ち込み、車検を取得、乗り回していたのである。
土曜日の朝、クシタニの革ツナギとアライのヘルメットに身を固めたテストパイロットは、港で、今日は岡山に渡って鳥取の砂丘へ行こうか、高松に渡って高知の室戸岬に行こうか、とその時の気分で一泊二日のツ-リングを楽しんでいた。
Z400FXの後継車として1982年に発売され、わずか1年でGPZ400にその座を譲るという悲運の単車であったが、テストパイロットはロ-ソンのビキニカウルを付けて走り回っていた。