まぼろしの『お言葉ですが・・・第11巻』 高島俊男

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 1995年の春、週刊「文春」の辛口コラムで多くの読者を持っていた中学文学専攻の高島俊男さんの本である。2006年夏、突然文藝春秋から掲載中止の通告を受けて10年続いたコラムは他の人に変わってしまった。高島さん自身も、あとがきに、「なんでやめさせられたんだろう?」と書いている・・・
 当代一流の碩学が、その無尽蔵ともいうべき学殖を駆使して、肩書きや常識にあぐらをかく大学教授や知識人教育者、評論家とよばれる日本的アカデミックな人たちをバッタバッタと斬り捨てる。さすがは瀬戸内塩飽海賊の気魂を受け継ぐ高島さんらしく、痛快無比であった。
 一年分のコラムを一冊の単行本として文藝春秋から発刊されて10巻目で終わりとなったが、この「第11巻」は、著者が残りのコラムを自費出版で出そうとしていたものである。それを惜しんだファンの応援で(有)連合出版した、まぼろしの「お言葉ですが・・・」となったのである。 
 そういえば、わたしの恩師内田義彦先生も「鬼の内田」「毒舌家の内田」とよばれていた。ちなみに、内田先生がわたしにつけたあだ名は、なんでも憤慨することから、「憤慨居士」であった。
 「お言葉ですが・・・」の憤慨居士がサラリ-マン社会で、どのような仕打ちを受けるのか、骨身に染みている・・・