鉄瓶

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                          愛用の巾着形鉄瓶
 
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 大学を卒業して小豆島に職を見つけ3年目、小学校のチャリティバザ-ルを覗いたときのこと、真っ赤に銹びた鉄瓶が目とまった。
 付いていた値札は三千円、姿形が面白いので購入することにして、明日取りに来るとPTAの役員に告げて帰った。
 翌日、鉄瓶を受け取りに行くと、役員の人より「テストパイロットさんが帰った後、古道具屋さんが来て、3000円は安い、三万円はするといったので、三万円でどうですか。小学校も助かります」と言われた。
 「商売上手め・・・」と心の中で毒づきながら、しかし、姿形はおもしろいので、持ち合わせがなくそのころ付き合っていた人から借金をして購入した、懐かしい思い出の鉄瓶である・・・
 お年寄りから、錆には赤錆と黒錆がある。火鉢にかけて沸騰させたところを濡れ布巾で拭くと黒錆が出ると教えられていたテストパイロットは、職場の石油スト-ブにかけては(ガスは穴があく)、濡れ布巾で沸騰した鉄瓶を「ジュ-」といっては拭き、「ジュ-」といっては拭いた。
 蓋は打ち手の小槌、胴体は巾着という、まあ、お金が貯まるかと思いながら30年、愛用した鉄瓶である。
 30年楽しませてくれたのだから、1年間にすれば千円である。
 鉄瓶は、テストパイロットの好きな蒸気機関車を思わせる・・・