江戸時代の歌舞伎を今に伝える小豆島肥土山農村歌舞伎その弐
江戸時代の歌舞伎を今に伝える
小豆島肥土山農村歌舞伎その弐
音吐朗々たる台詞とその生け殺しのうまさは、まさに歌舞伎役者の卵、でも全員女の子。農村歌舞伎ならでの男女平等です。
仮名手本忠臣蔵六段目 山崎街道の場 鉄砲渡し
役者と小道具方が手作りで作った猪が花道に登場
「又も振りくる雨の足、人の足音とぼとぼと、道の闇路に迷わねど、子ゆえの闇に突く杖も。直ぐなる心、堅親父」の床の浄瑠璃となる。花道より与市兵衛が現れる。上記のとおり、金を持っている。そこへ「おーい親父殿、待って下され」の声とともに怪しげな男が追いかけてくる。男は斧九太夫の息子・定九郎。親に勘当されて今では薄汚い盗賊である。「こなたの懐に金なら四五十両のかさ、縞の財布にあるのを、とつくりと見、つけてきたのじゃ、貸してくだされ」と無理やり懐から財布を取りだす。抵抗する与市兵衛に「エエ聞き分けのない。むごい料理をするが嫌さに、手ぬるう言えばつき上がる。サア、この金をここに出せ。遅いとたつた一討ちと、二尺八寸拝み打ち」と無残に斬りつけ、むごたらしく殺す。定九郎は与市兵衛の懐に手を伸ばし、財布を頂戴する。中身を確かめて
(金を一枚ずつ数えながら)(チャリン… チャリン… チャリン…)… 五十両… かたじけない。
「はねはわが身にかかるとも、知らず立ったるうしろより、逸散に来る手負い猪。これはならぬと身をよぎる。駆け来る猪は一文字」の床の言葉どおり、猪が走ってくる。定九郎は草むらに隠れる。猪が現れて舞台の中を駆け抜ける。猪は上手に消える。定九郎は猪から逃げようと後ろ向きながら立ち上がる。その姿は猪のようである。
農村歌舞伎の食事は割子弁当
これなら20人、30人のお客さんが来ても大丈夫。