『テストパイロット』 光人社NF文庫

     『テストパイロット』 光人社NF文庫
 
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  本書の主人公の森川勲さんは、大正14年8月から昭和20年8月までの20年間の間に、複葉木骨麻布張りのイギリス製アブロ水上練習機にはじまり、川西局地戦闘機紫電改」まで、30数機にも及ぶ試作機や国内外の最新鋭機の試験飛行をして、「操縦の神様のような人」・「名人森川飛行士」と呼ばれた名テストパイロットです。
 戦後、故郷小豆島四海村に帰ってきた森川さんは、赴任拒否が続いていた四海小学校小豊島分教場に代用教員として単身赴任をし、離島教育に取り組みました。晩年は、四海老人大学の学長を務め、高齢者教育に尽力しました。
 今回はじめて希代の名テストパイロットで教育者であった森川さんの生涯が一冊の本(光人社NF文庫)となりました。前半は、大正14年8月第8期飛行練習生としての初飛行にはじまり戦艦「陸奥」乗組み、航空廠飛行実験部、川西航空機でのテストパイロット時代を、後半は小豊島分教場での僻地教育について書いております。
 なお、本書は森川さんと交流のあった、小豆島出身の鷹尾卓海(連合艦隊戦務参謀)、浜中脩一(駆逐艦「山風」艦長)、浅田次郎の小説『シェエラザ-ド』のモデルとなった阿波丸の船長浜田松太郎、中国の文豪魯迅が絶大なる信頼をおいていた頓宮寛(上海福民病院創設者)、日本の航空機揺籃時代の名パイロット空林永治(内海町出身)のことについても、かなりの枚数を費やしておりますので読んでいただけますれば幸甚です。