『長安 百花の時』・筧文生著、理論的で時論の本

長安 百花の時』・筧文生著
 
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 中国文学の泰斗立命館大学名誉教授筧文生(かけひふみお)先生が、これまで市民講座や講演会、研究会で話したこと、中国での学界でのことなどを書き下ろしたものである。
 本書は、Ⅰ、講演記録・Ⅱ、華国紀游・Ⅲ、新歳時記・Ⅳ三言両語と四本立てで構成されている。魯迅をめぐる三人の女性などは、これまで意識的にふれられていない 魯迅の女性関係を、学者らしい抑制のきいた冷徹な目で、そしてヒューマニズムあふれた視座から書き綴っている。 日中関係を、どのように捉えるのかという時論的なとり組みとともに、漢詩の理解には理論的な、それでいて情緒的な視座から鋭く切り込んでいる。
 まず、読んでいて楽しい、面白い。堅苦しいと思われがちの漢詩の世界を、一般読者に理解出来るように、著者は文章に心を砕いている。
 このような学者が少なくなった。ぜひ、読んで欲しい・・・