心の傷をどう癒すか・・・『1995年1月・神戸』・阪神大震災下の精神科医たち

 
心の傷をどう癒すか・・・
 
『1995年1月・神戸』・阪神大震災下の精神科医たち
 
 
 1995年 (平成7年)1月17日 ( 火 )に発生した阪神大震災の際、当時神戸大学医学部精神科の中井久夫教授は、地震勃発とともに全国の大学医学部に応援を求めるFAXを流すとともに、応援にやってくる医療スタッフの衣食住を確保するために姫路、赤穂市など近隣の市町村のホテル・ビジネスホテル・旅館に予約を入れました。
 中井教授は、精神科救急の医師や看護師、カウンセラーら病院関係者、全国からやって神戸に来るボランティアの司令塔として不眠不休の陣頭指揮に立ち続けました。このときの活動がきっかけとなり、PTSDや心のケアへの関心が急速に高まり、兵庫県こころのケアセンターが設立され、中井教授が初代所長に就任しました。
 この本では、医師自らも被災者であるときに何が起こるのか、役割分担はどうするのか、ボランティアには何が期待されているのか、医薬品が足りないと患者に何が起こるのか、といった逼迫した問題に、神戸大学医学部精神科とその応援に全国から集まった医師や看護師らが、いかに対処したかが描かれています。
 16年前の阪神大震災と今回の東北関東大震災では、地震津波放射能汚染など災害の種類や規模は違いますが、ぜひ読んで頂きたいと思います。
 
   この本は、最相葉月氏によって電子データの公開および無償頒布されています。
 
   今こそ読まれるべきではないかとの想いを強くした私は、まことに僭越と思いつつ無償配布のご提案を中井氏にいたしましたところ、「かまいません」と瞬時にご快諾いただきました。版元のみすず書房の担当編集者である守田省吾氏のご協力も得て、ここに公開させていただきます。一人でも多くの皆様に届きますよう、心当たりの方がおられましたらご案内いただけると幸いです。今、困難な任務に就いておられる皆様を心より応援いたしております。(2011年3月20日最相葉月
*「災害がほんとうに襲ったとき」は中井久夫編『1995年1月・神戸 「阪神大震災」下の精神科医たち』(1995年3月刊・みすず書房)に収録されています
*本稿の電子データの公開および無償頒布につきましては、著者の中井久夫氏とみすず書房の許諾を得ております。